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AI画像生成ツールで作った画像を商業利用したいけど、著作権的に大丈夫なのか疑問に思いました。調べてみたので備忘録です。
調査のきっかけ
最近、Stable DiffusionやMidjourneyなどのAI画像生成ツールが身近になりました。仕事でも「ちょっとした画像が欲しい」という時に気軽に使えて便利なのですが、ふと疑問が浮かびました。
「これって商業利用しても本当に大丈夫なの?著作権的に問題ないの?」
ネットで調べると色々な意見があって、結局よく分かりませんでした。そこで、公式な情報源として文化庁の資料を調べてみることにしました。
文化庁の資料
文化庁が公開している「AIと著作権に関する考え方について」という資料を見つけました[1]。文化庁のAIと著作権のページには複数の資料がありますが、特に参考になったのは「AIと著作権に関する考え方について(令和5年6月)」のスライド資料[2]です。
AI生成画像の著作権判断
資料のスライド43ページに、重要な記載がありました。
AIを利用して画像等を生成した場合でも、著作権侵害となるか否かは、人がAIを利用せず絵を描いた場合などの、通常の場合と同様に判断されます。⇒「類似性」及び「依拠性」による判断
AI生成だから特別扱いされるわけではなく、従来の著作権判断と同じ基準で評価されるようです。
学習データについて
スライド37ページには学習についてこんな記載がありました。
AI開発のための情報解析のように、著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用行為は、原則として著作権者の許諾なく行うことが可能です(権利制限規定)。
一方で、スライド39、40ページには注意書きもあります。
「著作権者の利益を不当に害することとなる場合※」は、本条の規定の対象とはなりません(法第30条の4ただし書)。ただし書に該当するか否かは、著作権者の著作物の利用市場と衝突するか、あるいは将来における著作物の潜在的販路を阻害するかという観点から、最終的には司法の場で個別具体的に判断されます。
学習段階では基本的に問題ないものの、例外的なケースもあるということのようです。
商業利用パターンの整理
文化庁資料を読んで、自分なりに商業利用のパターンを整理してみました。
基本的に問題なさそうな場合
以下のようなケースは問題ないと考えています。
- 生成した画像が既存の著作物(キャラクター、イラスト、写真等)と類似していない
- AI生成画像に大幅なアレンジを加えて、完全にオリジナルになっている
- 明らかに「自作画像と同じ扱い」と言えるもの
注意が必要な場合
以下のようなケースは注意が必要だと思います。
- 既存の著作物に類似している・参照していることが明らか
- 有名キャラクター、漫画、アニメ、写真、商標等に似ている
- 「AIが勝手に似せた」場合でも利用者責任となるケースが多い
現状のリスク
完全にリスクをゼロにすることは難しいようです。
- OpenAI等の学習データには権利的に不透明な部分が存在する
- 利用規約でも「著作権問題は利用者責任」としている
- 後から権利侵害で争いになるリスクは完全にはゼロにできない
私の実務的な対応方針
調査を踏まえて、私は以下のような対応方針を取っています。
基本方針
- 基本は社内利用中心:まずは社内向け資料作成・アイデア出し等の内部業務で活用
- 外部利用時は慎重に:どうしても顧客向け資料等で利用したい場合は事前チェックを徹底かつ上長に確認
- グレーな場合は避ける:少しでも疑問があるものは使用を控える
プロンプトの工夫
生成時には以下の点を意識しています。
- 特定の作品名や作家名を避ける
- 「オリジナル」「ユニーク」といった表現を含める
- 汎用的なスタイル指定にとどめる
生成後のチェック
出力された画像は以下の観点で確認しています。
- 既存のキャラクターや作品に似ていないか確認
- 人物が含まれる場合は実在の人物でないか確認
- 企業ロゴや商標が含まれていないか確認
用途の限定
用途については以下のように制限しています。
- 重要な商業用途では避ける
- 内部資料やプロトタイプレベルでの使用に限定
- 最終的には人間が作成した画像に差し替え
外注に例えると
私の感覚では、 AI生成画像は「あまり信頼できない安い外注先に画像作成を依頼するのと似たリスク」 があると思っています。
- 外注先が勝手に既存作品をパクって納品するリスクがゼロにできないように、AIも学習データの影響で既存作品に似た画像を生成するリスクがある
- ただし、信頼できる外注先なら安心できるように、AIツールの選択や使い方次第でリスクは下げられる
実際に外注先の著作権違反が問題になった事例もありますし、人間が作成した画像だから絶対安全というわけでもありません。「誰が・どうやって作ったか」をしっかり把握することが大事だと感じました。
法的な境界線がまだ発展途上の分野なので、重要な商業用途では専門家に相談するのが一番安全だと思います。
